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プログラミング教育論に潜む20世紀的ドグマ

2018.10.12

ドグマとは「教義・教説などと訳され,固定された堅固な信条をいう。ときには柔軟性を欠く無批判な信念という意味で使われる。」
 
この6年ほど、こどもプログラミング教室を営んできた。それに関する教育論で、SEや関連業界経験者の発言で気掛かりなのが以下のような論旨だ。「コーディングは小学生からリアル言語を覚えなくては意味がない」「プログラミングの実務経験のない者が教えるのは疑問だ」といったたぐいのものだ。ドグマである。
 
18世紀の中ごろから始まった産業革命。起点は蒸気機関の発明だ。エネルギー革命であり、紡績や鉄鋼業の飛躍的発展と船や鉄道などの技術革新が流通進化を通して社会構造をも激変させた。軍事や植民地政策も大きく変容した。教科書に書いてある通りだ。しかも、この時の中核技術は石炭技術やタービン技術そのものではなかった。
 
21世紀、この規模の変革が訪れる。第四の産業革命と言われる今日現在だ。そこで、初等期からコンピューターリテラシーやデータサイエンスに接して、激変に対応し、自ら課題を設定して解決できる能力を身につけるために、「こどもプログラミング教育」は世界で重要視されている。
 
子供たちが社会にでる2030年代、現在で言う「プログラマー」の大半の業務はAIに置き換わる。必要とされるのは、技術革新の先に来る産業社会構造の変化を捉える能力だ。マネージメントに必要とされる資質が人間の担当するミッションだからだ。ロボットでは代価不可能だ。サービス・流通・人材育成・マーケティング・社会保障・安全保障・医療・介護全てにおけるマネージメント能力こそ問われるからだ。ロボットに使われる側ではなく、使う側すなわち創造する側だ。未来を牽引するビジョンやプラットフォームは独創的な能力からしか生まれない。感性や情緒も含めた市場解析の視点が最重要。
 
私がマーケティングに携わっていた2000年代初頭は、情報システムの黎明期だった。全国の顧客動向やロジスティクスはビックデータとして本社の一元管理となり、幹部社員は独自の検索フォームを自分で編集し、帳票もデータ解析もオリジナルが作成できるようになった。使う者の能力次第では破格の価値を再生産できた。その時、情報処理の一級を持つ幹部もいたが、価値の再生産は自力では無理だった。高等数学やプログラミング知識も必要とされる難しい試験を合格しているのに。なぜか?
 
データエコノミーには、市場に切り込む視点や価値の創造のプラットフォームに関する「経験」と「意味」が不可欠だからだ。21世紀はまさにこの素養こそ問われ、自力設定・自力開発の可能な環境ができあがる。小さなプレハブ小屋で空飛ぶ車や衛星も開発できれば、アイデア一つで世間を沸かすサービスも提供できる。
 
20世紀のドグマに侵されていては、21世紀人材の育成は不可能だ。心配なのは20世紀的ドグマを熱心に与えてしまうことのリスクだ。

プログラミング教育論に潜む20世紀的ドグマ

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